『柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会』
Group of Concerned Scientists and Engineers Calling for the Closure of the Kashiwazaki-Kariwa Nuclear Power Plant



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「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える
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週刊ダイヤモンド 9/1号
このところ、新聞や週刊誌などで原発問題の特集が増えています。

中でも、先週の週刊ダイヤモンドは、32頁もの大特集を組んでいます。

特集の後半には、(この雑誌の性格上、仕方がないと言えばそれまでですが、)世界的な原発ビジネスの広がりについて、非常に楽観的に書かれていたりしますが、我々の呼びかけ人である石橋克彦さんへのインタビュー(「日本のほぼ全域が地震活動期/新耐震指針も見直し必要」)が掲載されていますし、「(原発の)安全係数を余裕と勘違いしている人があまりに多い」という田中三彦さんのコメントも載っています。

その田中さんのコメントに続く、Q&Aのコーナーの最後の問いは、「柏崎刈羽原発は今後どうなるのか」というものですが、その答えで「多くの機器が脆弱化しているようだと、廃炉という選択を取る必要も出てくるだろう。」と述べ、まさに我々が声明で訴えたように、「廃炉」を視野に入れていることは重要です。

一方、今回の柏崎刈羽原発について、東京電力が「年内に一基再稼働」を目論んでいるという話が、大きく取り上げられていることは、見過ごせない問題です。(いわゆる観測気球?)

さらに、特集の最後に甘利大臣のインタビューを持ってきて、「原子炉本体の建屋は岩盤まで根を下ろしており、地球上に存在するすべての建築物の中で最強であることは間違いない。」とか、「加工から再処理まで、核燃料サイクルをほぼ自国で完結させることができる。」などという”大本営発表”をたれ流しにしていることは、悪質と言わざるを得ません。

それらの点は注意が必要ですが、要チェックであることは間違いありません。



声明発表について
「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」からの声明発表について


       柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会
         呼びかけ人(五十音順)
          石橋克彦(神戸大学教授・地震学)
          井野博満(東京大学名誉教授・金属材料学)
          田中三彦(元原発設計技術者・サイエンスライター)
          山口幸夫(原子力資料情報室共同代表・物理学)


 2007年新潟県中越沖地震によって甚大な被害を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所について、IAEA(国際原子力機関)の調査団は、わずか3日間の調査をもとに、原発は安全に停止し損傷は予想を下回るものだったという報告書を8月17日に公表しました。
 一方、総合資源エネルギー調査会に設置された調査・対策委員会の班目春樹委員長は、運転再開は少なくとも1~2 年後としながらも、早々と全7 基の運転再開を前提にした発言をしています。
 このようにして、柏崎刈羽原発は再稼働するものという雰囲気が日本社会に植え付けられていますが、私たちは、純粋に科学的・技術的見地から、この状況に強い危機感を覚え、2007年8月21日、都内で記者会見を行い、下記の声明を発表しました。



声明:東京電力柏崎刈羽原子力発電所の閉鎖を訴える
 2007年新潟県中越沖地震によって甚大な被害を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所について、IAEA(国際原子力機関)の調査団は、わずか3日間の調査をもとに、原子炉圧力容器、内部構造物、主配管などの中核機器の状況がまだ少しもわからない中、原発は安全に停止し損傷は予想を下回るものだったという報告書を8月17日に公表した。一方、総合資源エネルギー調査会に設置された調査・対策委員会の班目春樹委員長は、運転再開は少なくとも1~2年後としながらも、早々と全7基の運転再開を前提にした発言をしている。このようにして、柏崎刈羽原発は再稼働するものという雰囲気が日本社会に植え付けられている。しかし私たちは、純粋に科学的・技術的見地から、この状況に強い危機感を覚える。その理由は以下のとおりである。

 第一に、柏崎刈羽原発周辺で再び大地震が発生する可能性を否定できない。この地域は、日本海東縁変動帯の中でも地殻活動度が高い羽越-信越褶曲帯の真っ只中にあり、活断層も多い。今世紀半ば頃の南海巨大地震まで、日本海東縁変動帯から中部・西南日本にかけての大地震活動期が続く可能性が高いことも考えれば(注1)、2004年中越地震と今回の地震によってこの地域の大地震発生が終わったなどとは、けっして言えない。また、中越沖地震の広義の余震の大規模なものが、何年かを経て発生する可能性も無視できない。IAEAは活断層調査の重要性を指摘しているが、地表で確認される活断層と結びつかずに発生する大地震があることも忘れてはならない。

 第二に、昨年9月に改訂された「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」に照らすと、そもそも柏崎刈羽原発は立地が不可能なことが明白である。なぜならば、改訂指針は、基本方針で、すべての「建物・構築物」は「十分な支持性能をもつ地盤に設置されなければならない」と規定しており(注2)、中越沖地震で大規模な地盤変状を広範囲に引き起こして多くの構築物を損傷させた柏崎刈羽原発の敷地地盤は、疑いもなくこの規定に反しているからである。

 第三に、柏崎刈羽原発は設計時に想定した基準地震動S2をはるかに超える地震動に襲われ、原子炉圧力容器、炉心、配管、格納容器など、耐震重要度分類がAやAsの重要・最重要な施設・機器に、材料の弾性限界を超える力が作用したことはほぼ確実である。したがって、「止める、冷やす、閉じ込める」という最低限の機能は辛うじて維持されたとはいえ、多くの施設・機器に塑性変形(永久ひずみ)が残ったと考えるべきであり、場合によっては亀裂が生じた可能性もある。しかし、重大な問題は、有害なひずみが残っているかどうかを実証的に検証することは不可能であり、観測地震動を入力した数値シミュレーションによって、仮定に仮定を重ねて推測するしか方法がないことである(注3)。すなわち、7基の原発の健全性を客観的に確認することはできず、IAEAも警告しているように、顕在化していない亀裂やひずみが運転に支障を引き起こす恐れがある。このことは、原発内部に起因する事故が起こりやすくなるばかりでなく、今回よりも弱い地震動によっても大事故が引き起こされる可能性があることを意味する。

 第四に、そもそも、柏崎刈羽原発の地盤が劣悪で、直近に複数の活断層があって大地震の危険性も高いことは、1974年から33年間にわたって地元住民たちが訴え続けてきたことであった。それが、地元の震災という莫大な犠牲によってようやく実証されたのである。今回は、不幸中の幸いとして原発の大事故には至らなかったが、それは地震の起こり方の奇跡的ともいえる偶然によるものである。もし、中越沖地震の震源域がもう少しだけ南西寄りだったり、マグニチュードが1964年新潟地震並みの7.5程度だったりしたら、もっと激しい地震動が原発を襲い、「止める、冷やす、閉じ込める」機能も破壊されて、環境への放射能大量放出が起こっていたかもしれない。私たちは、これらのことを深刻に考えなければならない。

 以上の4点を真摯に受け止めることなく、大自然に対する侮りを続け、技術倫理の誇りを捨てて、柏崎刈羽原発の運転再開を図ることは許されるべきことではない。それは、深刻な危険を地元と日本社会、ひいては世界に押し付けることになる。

 今後、圧力容器内部をはじめとする全施設の徹底的な損傷状況調査、および、敷地地盤に関する詳しい科学的調査をおこなうべきことは言うまでもないが、それは、運転再開を前提としておこなうことではなく、閉鎖を視野に入れた客観的な科学的・技術的見地から、事後処理として実施するべきである。また、その結果は、政府や事業者に偏ることなく、地域住民の意見も尊重した公正な立場の人たちによって判断されるべきだと考える。

 以上、強く訴える。

2007年8月21日

柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会    
   呼びかけ人(五十音順)                    
    石橋克彦(神戸大学教授・地震学)   
    井野博満(東京大学名誉教授・金属材料学)    
    田中三彦(元原発設計技術者・サイエンスライター)
    山口幸夫(原子力資料情報室共同代表・物理学)  


(注1) 1854年安政東海・南海地震の前にも、1944年東南海・1946年南海地震の前にも、そのような地震活動期がみられた。また、1995年兵庫県南部、2000年鳥取県西部、04年新潟県中越、05年福岡県西方沖、07年能登半島、07年新潟県中越沖の各地震は現在の活動期の現われという見方がある。

(注2)「全ての建物・構築物に要求される」ことが、名倉繁樹・前田洋介・水間英城・青山博之「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針の改訂について」(第12回日本地震工学シンポジウム論文集CD-ROM,43-49,2006)に明確に解説されている。

(注3) 設備・機器の損傷は目視検査だけでわかることではない。亀裂の有無は、定期検査時に使われている非破壊検査技術である程度わかるとしても、7基の原発の重要・最重要機器を隅々まで調べ尽くすことはとうてい不可能である。さらに、有害な変形が生じたかどうかを、込み入った狭い現場で非破壊的に調べる実用的技術は存在しない。したがって、今後は、目視でわかるような大きな変形や損傷の確認と、限られた少数の部位に対する非破壊検査による亀裂の確認だけをおこない、有害な変形が生じたかどうかについては計算で推定すると思われるが、不確実なその計算結果を根拠に再稼働することは、あまりにも危険である。

連絡先:
「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」
  事務局(菅波 完 info@takagifund.org)


活動の経過
「柏崎刈羽・科学者の会」の活動の経過は以下の通りです。
(新しいものが上、古いものが下にという順番です。)


■ 2010/ 2/1:リーフレットNo.5 発行

■ 2009/11/19:新潟県技術委員会および設備・耐震小委員会の各委員に、7号機RIPモータケーシング問題に関する申入れ書を発送。
  設備健全性・耐震安全性の評価をやり直し、営業運転再開を認めないよう要請。


■ 2009/9/30:「7号機再循環ポンプモータケーシングの安全性に関する申入れ」発信

■ 2009/8/10: 原子力政策「転換」議員懇談会ヒアリングに参加
  ・柏崎刈羽原発の試験運転の状況と燃料破損の問題
  ・7号機再循環ポンプモータケーシングの地震応答解析に用いた
  減衰定数の「虚偽説明」問題
  について、東電・保安院・安全委を追及。

■ 2009/7/1: リーフレットNo.4 を発行

■ 2009/5/29: 新潟県知事宛「東京電力の「虚偽説明」について」発信

■ 2009/5/19: 近藤正道議員主宰のヒアリングに参加
   RIPモータケーシングの「虚偽説明」問題で、東電・保安院・安全委を追及。

■ 2009/5/7: 新潟県知事が7 号機の運転再開に同意 ※1 関連資料をリーフNo.4に掲載

■ 2009/4/11: 柏崎にて地元団体とともに記者会見 
   モータケーシング問題の重要性について解説。

■ 2009/4/9: 新潟県知事宛「7号機の運転再開について」発送 
   (6/15 付回答受信)

■ 2009/3/10: 新潟県知事及び技術委員会座長への「申入れ書」発送 
   (4/9 付回答受信)

■ 2009/3/2: リーフレット号外を発行

■ 2009/1/23: 公共事業チェック議員の会のヒアリングに参加
   佐渡海盆東縁断層の問題で、保安院・安全委員会を追及。

■ 2008/9/28: 「柏崎刈羽・科学者の会」一周年報告集会を都内で開催
 集会案内  報告・当日資料

■ 2008/9/24: リーフレットNo.3を 発行

■ 2008/7/13:神戸でのシンポ『原発依存経済からの脱却と地域の再生』を協賛

■ 2008/6/25: リーフレットNo.2 を発行
 →6/28-29に柏崎市で開催された 「柏崎刈羽原発を廃炉に! 」全国集会でも配布。

■2008/2/24: リーフレットNo.1 を発行
 →2/25-26に、原子力産業協会他が、柏崎市で開催した国際シンポジウムおよび、
   2/29に、原子力安全委員会が、都内で開催したシンポジウムでも配布。

■2007/11/17:長岡市で講演会を開催
『中越沖地震から4ヶ月:柏崎刈羽原発の今後をどう考えるか』と題して講演会を開催。
● 日  時   11月17日(土)18:30~20:30
● 場  所   サンライフ長岡 大会議室 
● プログラム
 1.趣旨説明・・・・・ 山口幸夫
 2.「地震学から柏崎刈羽原発を考える」・・・ 石橋克彦
 3.「原発の機器に何が起きたか」 ・・・ 田中三彦
 4.「原発の材料劣化と地震による損傷」 ・・・ 井野博満

■2007/11/12:原子力安全委員会委員長への公開質問状 
原子力安全委員会が、7/30付の、「新潟県中越沖地震による影響に関する原子力安全委員会の見解と今後の対応」の中で述べた「重要度に応じた設計加重」について、詳しい説明を求める公開質問状を発送。

■雑誌「科学」2007年11月号
特集「日本の原発はなぜ〈信頼〉されないのか」の中で、呼びかけ人4名が執筆。
  石橋克彦・・・・原発の耐震設計指針改訂に関する連載の第3回目
  井野博満・・・・"老朽化”原発の課題
  田中三彦・・・・浜岡原発はなぜ危険か
  山口幸夫・・・・柏崎刈羽原発の再開ありきを疑う

■2007/9/19:公共事業チェック議連へのレクチャー
呼びかけ人の田中三彦さんが、公共事業チェック議連の会合に参加し、原発機器の設計に関わった経験から、損傷の検証が極めて困難であることを説明。

■2007/9/14:IAEAへの公開書簡
IAEAのエルバラダイ事務局長が、日本政府の説明を追認するようなコメントを発表したことを憂慮し、「柏崎刈羽・科学者の会」からIAEAに公開書簡を送付。

■雑誌「科学」2007年8月号/9月号
石橋克彦さんが「原子力発電所の耐震設計審査指針改訂の諸問題」と題する連載を寄稿。第1回が8月号、第2回が9月号に掲載される。

■週刊朝日 2007/9/7号
田中三彦さんと原子炉メーカーの現役設計技術者、広瀬謙介さん(仮名)の対談記事が掲載される。

■週刊ダイヤモンド 2007/9/1号
石橋克彦さんの「日本のほぼ全域が地震活動期/新耐震指針も見直し必要」と題するコメントが掲載される。
また、田中満彦さんの「安全係数を余裕と勘違いしている人があまりにも多い」というコメントが記事の中で紹介される。

■2007/8/21:立ちあげ・声明発表
学士会館で「柏崎刈羽・科学者の会」立ち上げの記者会見を行い、声明「東京電力柏崎刈羽原子力発電所の閉鎖を訴える」を発表。




問題意識
 2007年7月16日に発生した新潟県中越沖地震によって、柏崎刈羽原発は、設計基準を大幅に超える地震動に見舞われ、大きな被害を受けました。
 一方、原子力安全保安院の元に設置された「調査・対策委員会」では、まだ実際の被害状況も正確に分からないうちから、1~2年の内に再稼働することを前提にした発言もあり、再稼働が当然の前提であるかのような雰囲気を、社会に植え付けようという意図が感じられます。
 私たちは、科学者・技術者の立場から、この状況に強い危惧の念を抱き、2007年8月21日、声明「東京電力柏崎刈羽原子力発電所の閉鎖を訴える」を発表しました。

 この声明では「閉鎖を視野に入れた客観的な科学的・技術的見地から」調査を行うべきだと主張しています。また、私たちは、随時、国側の調査・検討委員会の動きや、東京電力などによる調査の状況を注意深く監視し、科学者・技術者の立場から情報提供や問題提起をしていきたいと思っています。
 柏崎刈羽原発を直ちに閉鎖すべきと考える方々だけでなく、再開だけを前提にして調査を進めるのはおかしいと考える方々にも、是非、私たちの声明にご賛同いただきたいと思います。(こちらの賛同フォームから簡単に登録できます。)