2021/01/20
新潟県知事宛の公開書簡を発信しました。
当会は、1月20日に、新潟県知事に対して、下記の書面をメールで通知しました。新潟県における福島原発事故の検証の取り組みは、極めて重要なものですが、この間の報道などで明らかになってきた新潟県側の対応は、柏崎刈羽原発の再稼働を前提としたものであるとの疑念を抱かざるを得ません。
私たちは、新潟県に対して、「3つの検証」の取り組みを、県民に開かれた公正なかたちで運営することを強く要望しました。
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2021年1月20日
新潟県知事 花角 英世 様
柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会
呼びかけ人 井野博満、石橋克彦、田中三彦、山口幸夫
貴職におかれましては、柏崎刈羽原発の立地自治体として、県民の安心・安全を第一に、県政にあたっておられることに敬意を表します。
当会は、2007年7月の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が被災した直後に、東京電力及び政府が、被災した7基の原発について、徹底した検証も行わない段階から、性急に再稼働をすすめようとしたことに強い危機感を覚えた科学者・技術者によって立ち上げられ、以来、新潟県技術委員会における柏崎刈羽原発の検証などの取り組みを注視し、これまでも、当時の泉田裕彦知事および技術委員会への情報提供、問題提起などを行ってきました。
2011年の東日本大震災・福島第一原発事故以降、新潟県技術委員会では、福島原発事故の検証が精力的にすすめられ、事故原因の解明、東京電力の安全管理の問題等の検証について、重要な役割を発揮されたことも特筆に値するものだと考えております。
さらに、米山隆一知事時代の2017年にスタートした、福島第一原発事故をふまえた
「3つの検証」の取り組みは、花角知事に交代した後にも引き継がれ、福島第一原発事故の検証と、それをふまえた柏崎刈羽原発の安全対策の検討に寄与するものとして、特に注目してきました。
しかし、昨今、これに関して、報道などで明らかにされつつあるように、新潟県における検証のあり方に危惧を抱かざるを得ない状況が生じています。
一つは、検証総括委員会の池内了委員長が、就任当初から重視していた、検証に関わる県民との意見交換の場の設定について、新潟県が消極的であり、知事と委員長の対立が生じていると報じられていることです。また、技術委員会などの各検証委員会の報告書が、検証総括委員会を経ずに、直接、知事に提出されることになったことにも疑問を感じました。
もう一つは、技術委員会で、これまでの検証に大きな役割を果たしてきた委員が、年齢を理由に2021年4月以降の任命をしないと県から通知された問題です。従来からの議論の経緯も熟知した経験豊富な委員を、検証が大詰めになるこの時期に解任することは、厳しい姿勢で検証に臨む委員を排除し、柏崎刈羽原発の再稼働に向けて、新潟県が議論を誘導しようとしているという疑念を抱かせるものです。
当会としては、福島第一原発事故の検証および、柏崎刈羽原発の安全対策を検討するために、広く県民に開かれた場を設置するという池内委員長の考えは、当然、尊重されるべきだと考えます。また、福島原発事故の検証は柏崎刈羽原発の安全性確認のためにこそ行うべきもので、その再稼働の是非について、科学的な視点からの判断材料を提供するものだという池内委員長の考えを強く支持するものです。その上で、技術委員会の経験豊富な委員には、引き続き、委員として役割を発揮していただくべきだと考えます。
新潟県における「3つの検証」の取り組みは、新潟県民に広く理解され、支持されているものであることはもちろん、原発立地自治体における原発の安全性検証の取り組みとしても、極めて重要な意味を持つものと言えます。
原発再稼働ありきの恣意的な運営であるかのような疑念を抱かせることのないよう、新潟県として、公正な運営を徹底することを強く要望するものです。
以上
本件についての問い合わせ先:
柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会 事務局 菅波 完
〒160-0003 東京都新宿区四谷本塩町4-15 新井ビル3階
事務局携帯 070-5074-5985 E-MAIL kk-heisa@takagifund.org